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相続税の計算の仕方

相続税の計算は独特で分かりにくい部分が多くあります。

ここでは相続税の計算の流れを、順を追って説明していこうと思います。

1. 相続税課税の対象となる財産

家・自動車・通帳のイラスト

相続税の対象となるものは被相続人(亡くなった方)が残した財産全てです。株式や不動産などプラスの財産だけでなく借入金や未払金などのマイナスの財産も対象となります(プラスとマイナスが計算上相殺されます)。また、夫の稼いだ給与等を妻の名義の銀行口座に預けていた場合のその預金残高も相続税の対象と なります(いわゆる名義預金)。

この先の説明のため、2つの例を挙げておきます。

●Aさんが亡くなり相続開始。相続人は妻と子供3人。自宅は賃貸マンション。

<Aさん の遺産>

  • 預貯金残高 1,000万円(妻名義の預金口座を含む)
  • 有価証券(株式、国債、投資信託)評価額 1,500万円
  • 土地(青空駐車場)評価額 2,500万円
  • この他、妻を受取人とする生命保険金 1,800万円

●Bさんが亡くなり相続開始。相続人は妻と子供2名。自宅は持ち家。

<Bさん の遺産>

  • 預貯金残高 3,500万円
  • 有価証券 評価額 4,800万円
  • 土地(自宅、地積300m2)評価額 6,000万円
  • 家屋 評価額 2,500万円
  • 車、骨董品など 評価額 800万円
  • 住宅ローン残高 1,600万円

2. 相続税が生じない範囲

指揮棒を持った男性のイラスト

亡くなった方が財産を残したからと言って全ての場合に相続税がかかる訳ではありません。相続税には基礎控除といういわば「非課税枠」が決められていて、この控除額を遺産総額が上回らない限り、相続税が課されることはありません。

この基礎控除額は、
3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数
で計算された金額です。

また、生命保険金(および死亡退職金)はみなし相続財産として相続税の対象とされるのですが、「500万円 × 法定相続人の数」までは相続税が非課税とされているため、これも別の非課税枠となっています。

ここで、上で挙げた2家族の相続税がどうなるか見ていきましょう。

<Aさんの場合>

遺産総額: 1,000万 + 1,500万 + 2,500万 = 5,000万円
(生命保険金(1,800万円)は、500万 × 4人 = 2,000万円 の非課税限度額以下であるため計算には含まれません。)
基礎控除額: 3000万 + 600万 × 4人 = 5,400万円
5,000万円 < 5,400万円

このように課税対象となる相続財産の総額が基礎控除額を上回らないため、Aさんの相続人に相続税はかかりません(申告する必要もありません)。

<Bさんの場合>

遺産総額: 3,500万 + 4,800万 + 1,200万 + 2,500万 + 800万 − 1,600万 = 11,200万円
(330m2以下の自宅の土地は、配偶者や同居の親族が引き継ぐ場合、評価額の8割を相続税の対象としないという制度があります(小規模宅地等の特例)。これを前提として土地の評価額は、6,000万 − (6,000万 × 80%) = 1,200万円となっています)。
基礎控除額: 3,000万 + 600万 × 3人 = 4,800万円
課税対象となる金額(課税遺産総額): 11,200万 − 4,800万 = 6,400万円

Bさんの相続人はこの6,400万円を基準として計算された相続税を申告し納付する必要があります。

3. 相続税額の計算

相続人が納付しなければならない相続税額の計算ですが、少々複雑で特徴があります。ここでは申告納税が必要となったBさんのケースを例として具体的な計算をしてみたいと思います。

まず、課税遺産総額(6,400万円)を法定相続人の3人が民法の規定する法定相続分に従って相続したと仮定していったん按分します。

妻: 6,400万 × 1/2 = 3,200万円
長男: 6,400万 × 1/4 = 1,600万円
長女: 6,400万 × 1/4 = 1,600万円

次に下の速算表に各人の按分された財産額(課税価格)をそれぞれ当てはめ、それぞれの税額を算出します。

法定相続人の取得金額 税率 控除額
1,000万円以下 10% -
1,000万円超3,000万円以下 15% 50万円
3,000万円超5,000万円以下 20% 200万円
5,000万円超1億円以下 30% 700万円
1億円超2億円以下 40% 1,700万円
2億円超3億円以下 45% 2,700万円
3億円超6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

妻: 3,200万 × 20% − 200万 = 440万円
長男: 1,600万 × 15% − 50万 = 190万円
長女: 1,600万 × 15% − 50万 = 190万円

このように個々に算出された税額を合計したものが、Bさんの相続開始により発生する相続税の総額として、まず算出されます。

相続税の総額: 440万 + 190万 + 190万 = 820万円

4. 相続人ごとの納付税額

次に各相続人がそれぞれ負担する(納付する)相続税額を算出します。

相続税は各相続人が実際に相続する財産額に大きさに応じて負担割合が決まります。よって、相続する財産の価額(課税価格)の比で按分し、相続人ごとの納付税額を算出します。

Bさんのケースで具体的に見ていきましょう。もし相続人の3人が法定相続分どおり遺産分割を行うこととなった場合、各人の納付税額は次のようになります。

妻: 820万 × 1/2 = 410万円 → 配偶者軽減により0円
長男: 820万 × 1/4 = 205万円
長女: 820万 × 1/4 = 205万円

配偶者は法定相続分もしくは1億6,000万円のいずれか多い方の金額までの財産にかかる相続税は全額控除の対象となり納付の必要がありません。したがってこの場合、子供2人が205万円ずつ納付することとなります。

では、Bさんの相続人が、妻65%、長男15%、長女20%の比率で遺産分割を行うこととした場合、各人の納付税額はどのようになるでしょうか。

妻: 820万 × 65% = 533万円 → 配偶者軽減により0円
長男: 820万 × 15% = 123万円
長女: 820万 × 20% = 164万円

このとおり、子供2名が上の金額を納付することとなります(妻がより多く財産を相続しているため、配偶者軽減の影響で最終的な相続人の納付税額が合計で少なくなっていることが分かります)。

大掴みではありますが、相続税は概ねこのような流れで計算されます。試算等にお役立てください。

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