民事信託の基本が分かったところで、相続税法を中心に類型別に民事信託の税務について説明します。
民事信託(家族信託ともいいます)とは、認知症や足腰が不自由になる等の理由で財産の管理や処分が困難になった場合に備え、信頼できる人に自身の財産を託することによって、財産の運用や管理を任せることができる法的な仕組みです。
【相続税法9条の2①】信託の効力が生じた場合において、適正な対価を負担せずにその信託の受益者等となる者がある時は、 その信託の効力が生じた時において、その信託の受益者等となる者は信託に関する権利をその信託の委託者から贈与 (その委託者の死亡に基因してその信託の効力が生じた場合には、遺贈)により取得したものとみなす。
いわゆる他益信託といわれるもので、信託契約の発生時に受益者(B)に対して贈与税等が課税されます。
なお、受益者は、その信託財産に属する資産及び負債を有するものとみなし、かつ、その信託財産から発生する収益及び費用はその受益者の収益及び費用とみなして、所得税の申告をします。(所法13①)
ここで、注意するポイントがあります。収益不動産等を信託財産とする場合、不動産所得の損失の金額は、生じなかったものとみなされます。(措法41条の4の2) つまり、他の不動産所得や事業所得と損益通算することが出来ないことになります。
【相続税法9条の2②】受益者等の存する信託について、適正な対価を負担せず新たにその信託の受益者等が存するに至った場合には、その受益者等が存するに至った時において、 その信託の受益者等となる者は、その信託に関する権利をその信託の受益者等であった者から贈与(その受益者等であった者の死亡に基因して受益者等が存するに至った場合には、遺贈)により 取得したものとみなす。
★(C)が受益者となった時に、(B)から受益権を贈与により取得したとみなします。
【相続税法9条の2③】受益者等の存する信託について、その信託の一部の受益者等が存しなくなった場合において、 適正な対価を負担せずに既にその信託の受益者等である者がその信託に関する権利について新たに利益を受けることとなるときは、 その信託の一部の受益者等が存しなくなった時において、その利益を受ける者は、 その利益をその信託の一部の受益者等で合った者から贈与(その受益者等で合った者の死亡に基因してその利益を受けた場合には、遺贈)により取得したものとみなす。
★(B)の死亡時に、(C)が(B)より受益権を遺贈により取得したとみなします。
【相続税法9条の2④】受益者等の存する信託が終了した場合において、適正な対価を負担せずにその信託の残余財産の給付を受けるべき、 または帰属すべき者となる者があるときは、その給付を受けるべき、又は帰属すべき者となった時において、その信託の残余財産の給付を受けるべき、又は帰属すべき者となった者は、 その信託の残余財産をその信託の受益者等から贈与(その受益者等の死亡に基因してその信託が終了した場合には、遺贈)により取得したものとみなす。
④は「信託契約は委託者(甲)と受益者(甲)を同一人物(自益信託)で締結し、(甲)が亡くなった時に、残余財産を相続人である子など帰属権利者として指定された者が取得する」という、 実務でよくあるケースです。
相続税の申告では、残余財産を相続財産として相続税申告書に記載することになります。
この場合に、信託財産責任負担債務を相続債務として記載することができるのでしょうか。
相続税法第9条の2第6項では、「当該信託の信託財産に属する資産及び負債を取得し、又は承継したものとみなして相続税法を適用する。」とありますが、9条の2第4項が除外されていることから、債務控除は認められていないという意見があります。
一方、第4項の規定は、死亡により信託が終了することが第一条件であり、残余財産の給付のため債務は清算されることが前提となっているから、残余財産の計算上控除すべきものという意見もあります。
とはいえ、これらの悩ましい要因を解消するため、受託者(子)を第2受益者としたうえで、受益権から信託財産責任負担債務を控除し、その後、信託を終了させる方が、安心かもしれません。
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