「
教育資金贈与」は有効な相続税対策となり得るもので、比較的容易に始めることができるため、特に高齢の祖父母から孫への贈与に広く利用されております。
ただ、近年の改正により、
贈与者が死亡した場合の残額の加算などについてルールが厳格化されているので、利用にあたり注意が必要です。
いわゆる「
教育資金贈与」とは、正式には「
直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置」という制度で、
30歳未満の受贈者の教育資金に充てるため、 受贈者の親ないし祖父母などから金銭の贈与を受け、 これを金融機関に預入等をした場合に、
受贈者ごとに1,500万円(学校等以外では500万円)まで贈与税が非課税となる仕組みです。
将来必要となる多額の資金を一括で贈与できるため、平成25年4月の制度開始以降、広く利用されております。 (現在、
令和8年3月までの贈与につき適用が延長されております。)
この教育資金贈与は、運用していく過程で、
金融機関に学費等の領収書を添付し申請する手続きが求められ、これが面倒というデメリットもあります。
そもそも必要な教育費用を扶養義務者が支払うことは贈与税の課税対象にはなりませんので(非課税財産として扱われます)、 祖父母が孫の学費等をその都度負担すればこの手間は省けることになります。
ただ、祖父母などの方がご高齢で、
相続までの期間が短いと判断される場合などには、この教育資金贈与により孫やひ孫に一括贈与をすることは有効な手段となります。
契約期間中に祖父母等の贈与者が亡くなった場合でも、受贈者が非課税の特例の適用を受けて取得した金銭は原則として相続財産に戻し入れる必要はなく、 相続税の課税対象とはなりません。この点も教育資金贈与の大きなメリットの一つとなっております。
ただし、贈与者が死亡した時点で
管理残額(教育資金として使用し切れなかった金銭)がある場合には、これは相続により取得したものとみなされ、
相続財産に加算されて相続税の対象となります(子以外の場合は相続税が2割加算の対象となります)。
この例外として、①受贈者が23歳未満である場合、②学校等に在学している場合、③教育訓練給付金対象の教育訓練を受講している場合、のいずれかに該当するときは、
この加算はありません。
特に祖父母から孫への贈与では、実際には①ないし②に該当し、結果として相続税の対象とならないケースが多いかと思われます。
なお、近年の改正で、
令和5年4月1日以後の贈与分については、
贈与者の相続税課税価格が5億円超である場合には、上述の3つの例外に該当する場合でも、相続税の課税対象とされることになりました。 この点はご留意ください。
受贈者である子や孫が
30歳に達した場合には、原則として教育資金管理契約の終了事由となり、
非課税拠出額−教育資金支出額の残額は、その達した日の属する年の贈与税の課税対象となります。
したがって、契約終了時に多額の贈与税が発生しないように、
当初贈与する金額には注意する必要があります。
教育資金贈与は追加の贈与も可能であるため、
初回から多額の贈与をせず、 その先の必要額を考慮し追加の検討をする方がよいかと思います。
(上述の贈与税の申告において相続時精算課税制度の適用要件を満たしていれば、これを選択し、その時の贈与税課税を避けることも可能です。 相続時精算課税制度について詳しくは
こちら)
ところで、受贈者である子や孫が死亡したことにより教育資金管理契約が終了する場合ですが、非課税拠出額から教育資金支出額を控除した残額がある場合であっても、 贈与税課税の対象にはなりません。実際の口座残高は受贈者の相続財産(相続税の対象)として扱われます。
近年の改正により、特に 管理残額の課税について厳格化が進み、適用関係が複雑になりました。 贈与した時期により課税のされ方が異なるため、きちんと整理しておく必要があります。
関連リンク
▷直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税(国税庁)
▷祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし(国税庁)
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