原則として正しいです。ただし、110万円の控除額(非課税枠)は、贈与者(祖父母)ではなく、受贈者(孫)1人ごとに年間認められている受贈額の上限なので、もし孫が同じ年に別の人(両親など)から贈与を受けている場合、年間の受贈額合計が110万円を超えると、その分には贈与税がかかるので、留意する必要があります。
また、相続開始前の一定期間の贈与は、110万円以下の贈与であっても後の相続税の対象とされる場合があります。
贈与税額は、その年中の贈与財産の価額の合計額から「基礎控除額」を差し引いた金額に税率を乗ずることによって計算されます。
この基礎控除額は現時点で一律110万円と定められており、財産価額の合計が110万円を上回らない限り、計算上贈与税は生じないことになります。
これにより、この110万円の控除額がいわば贈与税の「非課税枠」とされ、一般にこの範囲内で行なわれる贈与には贈与税がかからないと認識されています。
ご留意いただきたいことは、この基礎控除額が認められる基準が「受贈者(もらう人)1人につき1年間のうちに」であって、贈与者(あげる人)ではないという点です。
よく1人の孫に対し祖父と祖母が110万円ずつあげてもよいか、という質問を受けますが、あくまで控除の基準は孫の側にあるので、この場合、孫は220万円の贈与を受けたことになり、110万円部分につき贈与税がかかってきます(贈与税の申告納税義務者が受贈者であることを考えると迷わないかと思います)。
同様に、孫が同じ年に両親など別の人から既に贈与を受けている場合、金額次第ではこの控除額を超えて贈与税が生じる可能性がありますので、贈与時に確認をする必要があります。
ところで、相続が開始され、相続税の計算を行う際に、相続開始前の一定期間に相続人に対して行われた贈与の金額を、課税対象となる相続財産に含めなければならないというルールがあります。
これは一般に「生前贈与加算」と言われる仕組みで、贈与金額の多寡に関わらず相続税の課税価格に算入されることになりますので、せっかく110万円以下の贈与を生前に行っても、結果として相続税が課される可能性があります。
このルールについても留意する必要があります。
この生前贈与加算の対象となる期間は、これまでは相続開始前3年以内とされておりましたが、令和5年度の税制改正により、7年以内の贈与が対象とされました。
ただし、経過措置として、急に7年に変更されるのではなく、次のとおり段階的に変更されることとなっております。
・令和8年12月31日までに死亡した場合 : 相続開始前3年以内(変更なし)
・令和9年1月1日から令和12年12月31日までに死亡 : 令和6年1月1日から死亡日までの期間(死亡日に応じて3年超7年未満の期間)
・令和13年1月1日以後に死亡 : 相続開始前7年以内
この生前贈与加算の対象となる贈与は、遺産を受け取る相続人および受贈者に対する贈与に限られますので、養子ではない孫への贈与などは対象にはなりません。孫への贈与がこの点でも有効であることがご認識いただけるかと思います。
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