平成29年度税制改正法案ですが、証人喚問などで国会が混乱する中、今週3月27日に参議院で可決成立しました。相続税・贈与税関連では目立つ改正はありませんでしたが、国内居住要件の変更による課税の強化や事業承継税制の要件緩和など注視すべき改正事項も盛り込まれています。詳細は、平成29年度税制改正 – 相続税関連の改正点 をご参照ください。
ところで、ここ数年改正要望が出されていた株式の評価についてですが、本改正においては非上場株式の評価については一部改正が行われましたが、上場株式の評価の改正につきましては見送られました。
近年、NISAなどの優遇税制の影響もあり、株式等有価証券を保有されている方は明らかに増加しており、私どもが相続税申告業務の中でも関わるケースが増えております。
今回は、この株式の評価方法について、省庁の改正要望の内容や本年度の改正事項を含め、概要をまとめてみたいと思います。
証券取引所に上場されている株式の評価については次の価額のうち最も低い価額により評価することとされています。
過去の価額を含む4つの価額の中から最も低いもので評価されるという点では有利な方法となっているとも言えるのですが、相続税の「相続開始から10ヶ月以内」という比較的長い申告期限の間の価格変動のリスクが評価に反映されません。この点を考慮すべきという改正要望が金融庁より出されていましたが、改正には至りませんでした。不動産等に比して値動きの大きな資産であるため、早期の改正が望まれるところです。
会社経営をされている方が亡くなった場合に直面する問題がこの非上場株式の評価です。市場価格のある上場株式とは異なり、その会社自体を評価することになるので、その評価方法は単純なものではありません。
まず、非上場株式を評価するにあたり、相続ないし贈与で株式を取得した相続人ないし受贈者が、その会社について経営支配力を有する株主(同族株主)か否かにより、①原則的に会社評価を行うか、②例外的(特例的)に配当実績による評価を行うか、が決まります。
株式を取得する者が同族株主に該当する場合、当該株式の評価にあたり、最初に会社を純資産価額、従業員数および取引金額の大きさに応じて、大会社、中会社または小会社に区分します。そして、それぞれ規模に応じた評価方法が適用されます。
大会社の場合は、原則として、類似業種比準方式が採られます。これは、株式を評価する会社の類似業種の株価を基とし、評価する株式の1株あたりの配当金額、利益金額および純資産価額の3つの指標を標準値と各々比準した率を加味することにより評価計算を行う方法です。類似業種の業種目や業種目別の株価、配当金額等の標準値は国税庁から公表されています。
今回の税制改正により、上の3つの指標のうち、利益金額の株式評価計算に占める割合が5分の3から3分の1に縮小されました。会社の収益性の株価に与える影響が小さくなり、一時的な損益の増減が株価に反映されにくくなったと言えます。
一方、小会社の場合は、原則として、純資産価額方式で株式を評価します。この方式は、会社の貸借対照表上の資産および負債を財産評価基本通達に従った金額に評価替えし、その差額から法人税額等相当額を控除して算出される純資産価額を基準として株式を評価するものです。実務上、この評価替えに手間がかかります。
なお、中会社とされた場合は、上述の2つの方法を併用して株式を評価することとされています。
株式を取得する者が会社の経営に影響を及ぼさない程の少数株主となる場合、1年間に受け取る配当金額を一定の還元率で割り返して求めた金額を株式の評価額とします(配当還元方式)。この方式は会社の財務データが入手できなくても計算ができる簡便な方法です。
被相続人が会社経営を行っていた場合、多くのケースで原則的方法による非上場株式の評価を余儀なくされます。計算が一筋縄では行かないことが多く、これについては早めに税理士に相談されることをお勧めします。
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