前回のブログで、相続税を計算する上で未納となっている税金をどのように取り扱うかについてご説明いたしましたが(「納付前に亡くなった場合の税金の取扱い」)、今回は社会保険(年金、健康保険、介護保険)に関連する事項で相続税計算の中で検討を要する点につき、その取扱いを整理したいと思います。
ご説明の中心は、被相続人が亡くなった後に入金(還付)される金銭の相続税計算上の取り扱いになります。
年金は毎年偶数月の15日に前々月分と前月分が合わせて支給される「後払い」の仕組みとなっているため、年金の支給を受けていた方が亡くなると、必ず本人が受給できなかった分が生じます。
一見、受け取れるはずの金銭を受け取る前に亡くなったことになるので、未収金として相続財産に含めるようにも思えますが、平成7年11月7日の最高裁判決により、この「未支給年金」は相続財産には含まれないものとされています。
国民年金法上でも未支給年金は、配偶者、子などの親族が法で定められた順位に従い「自己の名」をもって請求する固有の権利とされており、亡くなった年金受給者の相続財産とは制度上ならない設計となっています。
受給者が亡くなった後、遺族が未支給年金の請求手続きも亡くなった受給者の銀行口座を凍結する手続きも取らずにいると、亡くなった受給者の口座にそのまま年金が振り込まれてしまいますが、これは死亡に関する情報がない故に年金機構が誤って振り込んだものに過ぎません。この入金額は相続財産として遺産分割の対象となるものでもなく、未支給年金の請求権者のうちの先順位者が本来受けるべきものということになります。
ところで、未支給年金は相続税の対象とはならない一方で、請求権者の所得(一時所得)として所得税の対象とはなりますので、この点はご留意ください。
国民健康保険(あるいは後期高齢者医療保険)に加入していた被保険者が亡くなった場合、市町村より葬祭費が支給されます(名古屋市の場合、一律5万円)。同様に、会社勤務の方で健康保険の被保険者であった方が亡くなった場合、保険者である健康保険協会または健康保険組合より埋葬料が支給されます(一律5万円)。
この葬祭費及び埋葬料は請求した相続人が支給を受ける給付であるので、相続財産にはならず、相続税の計算には含めません。また、保険給付ですので、受け取った相続人の所得税の対象にもなりません。
1ヶ月の医療費の自己負担分(1〜3割)が一定の金額(支給を受ける方の年齢や所得により異なります)を超えると、健康保険よりこの超過分に対して給付を受けることができます。これが高額療養費給付です。
また、会社に勤務している方が病気や怪我により勤務することができない場合に、その生活を保障する目的で平均標準報酬月額の3分の2を基準として健康保険より給付を受けることができます。これを傷病手当金と言います。
これらの給付を受ける前に亡くなった場合の取り扱いですが、①の未支給年金のように一定の親族が固有の権利として請求できるといった規定はありませんので、仮に遺族の方が給付の手続を行ったとしても、それは本来行うべき被相続人に代わって行ったに過ぎないということになります。したがって、これらの給付金は被相続人の財産として相続税の計算に含めることになります。
年金から徴収される国民健康保険料(または後期高齢者医療保険料)や介護保険料のうち、過払い(過誤納)となっている分が精算され、被保険者が亡くなった後に市町村より還付となることがあります。これらは被保険者の生前の前払い分の返還に過ぎませんので、未収金として相続財産に含められることになります。
もし、国民年金保険料を前納していた方が亡くなった場合には遺族の請求により未経過分が精算され還付されますが、このケースも同様に還付金は相続財産に含めます。
未納税金についても社会保険給付についても相続税の計算にこれだけ関わり合いがあるのですが、中々全体を把握することは困難です。凍結手続きをする前の銀行口座の取引履歴や亡くなった後に届く郵便物等の内容で判明することが多い事項ですので、このあたりに気を配っていただければと思います。
税理士法人名古屋総合パートナーズでは、お客様の疑問などを積極的にコンテンツ化し、相続税で悩まれている全ての方へ正しい知識が提供できるように、日々サイトの改善を行っております。現在、サイトコンテンツの追加の際にお客様の求める情報を素早く提供するため、Facebook ページから広くご意見を募集しております。
相続税申告・相続税対策で悩んでいる、相続税全般について知りたいことがあるけどインターネット上で見つからなかったという皆様から、たくさんのメッセージをお待ちしております。 ※ サイトの更新やセミナーのご案内等の情報をいち早くお届けするために、Facebook ページへの「いいね!」をお願いします。
より良いサービスのご提供のため、相続税申告・相続税対策の取扱案件の対応エリアを、下記の地域に限らせて頂きます。
【取り扱いエリア】
愛知県西部(名古屋市千種区,東区,北区,西区,中村区,中区,昭和区,瑞穂区,熱田区,中川区,港区,南区,守山区,緑区,名東区,天白区,
豊明市,日進市,清須市,北名古屋市,西春日井郡(豊山町),愛知郡(東郷町),春日井市,小牧市,瀬戸市,尾張旭市,長久手市津島市,愛西市,弥富市,あま市,海部郡(大治町 蟹江町 飛島村),
一宮市,稲沢市,犬山市,江南市,岩倉市,丹羽郡(大口町 扶桑町),半田市,常滑市,東海市,大府市,知多市,知多郡(阿久比町 東浦町 南知多町 美浜町 武豊町))
愛知県中部(豊田市,みよし市,岡崎市,額田郡(幸田町),安城市,碧南市,刈谷市,西尾市,知立市,高浜市)
愛知県東部(豊橋市,豊川市,蒲郡市,田原市,新城市)
岐阜県南部(岐阜市,関市,美濃市,羽島市,各務原市,山県市,瑞穂市,本巣市,本巣郡(北方町),多治見市,瑞浪市,土岐市,大垣市,海津市,養老郡(養老町),不破郡(垂井町
関ヶ原町),安八郡(神戸町 輪之内町 安八町),揖斐郡(揖斐川町 大野町 池田町),恵那市,中津川市,美濃加茂市,可児市,加茂郡(坂祝町 富加町 川辺町 七宗町 八百津町 白川町 東白川村),可児郡(御嵩町))
三重県北部(四日市市,三重郡(菰野町 朝日町 川越町),桑名市,いなべ市,桑名郡(木曽岬町),員弁郡(東員町))
三重県中部(津市,亀山市,鈴鹿市)
静岡県西部(浜松市,磐田市,袋井市,湖西市)
無料相談については、相続人・受遺者の方の内少なくとも1名が上記エリアにお住まいの場合、または被相続人の最後の住所地が上記エリアにある場合の方に限定させていただいております。
運営管理 Copyright © 税理士法人 名古屋総合パートナーズ All right reserved.
所属:名古屋税理士会