私どもが取扱う相続税の申告案件は、弁護士法人名古屋総合法律事務所が併設されていることもあり、未分割で申告しその後分割協議が整い修正申告する案件や、遺留分の減殺請求後遺留分が確定し期限後申告をする案件などが多くあります。
このような場合に気になるのが延滞税や加算税ではないでしょうか。
今回は、具体的な事例を用いて延滞税及び加算税について説明したいと思います。
この場合、申告期限までに申告書を提出し、相続税の納税義務を負うのは誰でしょうか。遺留分の減殺請求は、請求しただけで申告及び納税義務を負うものではありません。
従って、申告期限において遺留分が確定していない限り、申告及び納税義務は長女にあります。
その後、遺留分が確定し、長男が遺留分額を取得した場合には、①相続税を相続人間で調整するケース。②長男が期限後申告書を提出するケース。③長男が税務署から決定を受けるケースの3つが考えられます。
期限後申告書の提出又は決定により納付すべき税額の5%又は15%の無申加算税が課されることになるのですが、遺留分の減殺請求は、期限内申告書の提出がなかったことについて「正当な理由が」があるものとして、無申告加算税は課されません。
遺留分が確定したことにより期限後申告書の提出があった場合においては、延滞税の特則により、相続税の申告書の提出期限の翌日から期限後申告書を提出した日までの期間は、延滞税が課されないこととなります。
従って、期限後申告書の提出と同時に相続税額を納めた場合には、延滞税は課されません。
決定を受けた場合には、相続税の申告書の提出期限の翌日から決定通知書を発送した日と遺留分が確定した日の翌日から起算して4か月を経過する日のいずれか早い日までの期間は延滞税は課されません。
①決定通知書の発送日が遺留分が確定した日の翌日から4ヶ月を経過する日より前の場合
②決定通知書の発送日が遺留分が確定した日の翌日から4ヶ月を経過する日より後の場合
上記の加算税及び延滞税の取扱いは、相続税法32条に定められている相続特有の更正の請求事由が生じた場合に適用されるものであることをご留意ください。
このように相続税法では、更正の請求、期限後申告、修正申告、延滞税に特則が設けられており、特に納税額が大きくなるようなケースでは、細心の注意を払わなければいけません。
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