近年、持分のない一般社団法人等を設立して、財産を移転し、個人の相続税がかからないような節税対策が横行していました。そこで、平成30年度の税制改正により創設された制度が、相続税法第66条の2の「特定の一般社団法人等に対する相続税の課税」です。
一般社団法人等の設立については、こちら
どのような、制度かといいますと、例えば、資産家Aさんが息子と一般社団法人を設立して理事となり、そこに資産家Aの不動産などの財産を移転(移転の方法は工夫が必要)させます。
そして、その後、資産家Aが死亡した時に、一定の要件に該当すると、その一般社団法人を個人とみなして相続税を課税するという制度です。
株式会社であれば、移転した不動産は、出資者である資産家Aの株式の評価に反映され、株式として相続税の課税対象となりますが、一般社団法人の場合は、持分がないため、これまでは相続税の課税対象外となっていました。
では、一定の要件とはどのような要件でしょうか。
要件に該当しますと、理事(前5年以内に理事であった者を含む)が死亡した時に、財産から債務を控除した純資産額をその時の理事数に1を加えた数で除した金額を死亡した理事から遺贈により取得したとして、一般社団法人に相続税が課税されます。
この制度は、平成30年4月1日以降の理事の死亡について適用されますが、平成30年4月1日以前に設立された一般社団法人等については、令和4年4月1日以降に死亡した理事ついて適用されます。
次に、一般社団法人等への財産を移動させるときの税金ですが、一般的に一般社団法人等は、その設立の目的からして、株式会社等と違いお金がないという存在です。そこで、贈与をしてしまうとどのような課税関係が生じるのでしょうか。
一般社団法人等は、法人税法上は株式会社と同じですから、法人側で受贈益課税がされます。法人の受贈益課税で終わればいいのですが、ここで注意しなければいけないのが、相続税法第66条4項です。
どのような制度かといいますと、
「一般社団法人等に対し贈与又は遺贈があった場合において、相続税又は贈与税の負担が不当に減少する結果となると認められるときは、一般社団法人等を個人とみなして贈与税又は相続税を課する」
という制度です。
この場合は、受贈益課税と二重課税になりますので、贈与税又は相続税の計算上法人税等は控除されます。「不当に減少する結果」とならないように要件を具備する対策が必要となってきます。
また、相続税法第65条では、
「一般社団法人等から、その施設の利用、余裕金の運用、解散した場合における財産の帰属等について設立者の親族へ財産の贈与又は遺贈があった場合は、その財産の贈与又は遺贈があった時に、贈与又は遺贈をした者から贈与又は遺贈により取得したものとみなす」
と規定されています。
これは、一般社団法人等の出口問題でもあるのですが、解散し残余財産を個人が受取るとこの規定の適用を受けることになります。
そうしますと、一般社団法人へ財産を移転させる方法としては、時価で譲渡という方法を選択することになります。
この場合は、買取資金の調達が必要となってきますが、資金を拠出した者は貸付金として相続財産となりますので、どこから資金を調達するかを検討する必要があります。
一般社団法人等は、2008年に設立ができるようになってからまだ間もないという事もあり、課税上のリスクがあまり読めないところがあります。
法人税・相続税・所得税の課税関係を踏まえてプランニングしないと、思わぬところで課税されるというケースもあるかもしれません。
ただし、資産家の方にとっては、多少の税金を払ってでも財産を移転させるとその財産については、相続税は課税されないため有効な対策となると思われます。
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