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令和6年1月1日以後に相続、遺贈、又は贈与により取得した「居住用の区分所有財産」(いわゆる分譲マンション)の評価方法について、改正が行われました。
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/0023011-040_01.pdf(「居住用の区分所有財産」の評価が変わりました)
分譲マンションについては、「相続税評価額」と「市場売買価格(時価)」とが大きく乖離しているケースがあり、このような場合、相続税の申告後に、国税当局から、路線価等に基づく相続税評価額ではなく鑑定価格等による時価で評価し直して課税処分されるというケースが発生していました。
令和4年4月、タワーマンションの相続税評価額について争われた最高裁判決で国税側の主張が認められ、相続人に3億円の追徴課税が課せられたことも、改正への大きなきっかけになったといわれています。
実は相続税法では、相続等により取得した財産の価額は「当該財産の取得の時における時価(客観的な交換価値)」によるものとされています。(相続税法の時価主義)
※「取得の時」とは、相続人が取得した時、すなわち相続開始の時を意味しています。そして、その時価評価を行うための具体的な評価方法が、財産の種類ごとに財産評価基本通達によって定められています。
この時価主義の下、「居住用の区分所有財産」(いわゆる分譲マンション)の評価が適正に行われるため(=「相続税評価額」と「市場売買価格(時価)」との大きな乖離を解消するため)に、今回の基本通達の改正が行われたのです。
※国税庁の検討資料の中では、マンションの評価に関する通達を見直す必要性についてマンション(一室)の相続税評価額(自用の場合)
=区分所有権の価額(①)+敷地利用権の価額(②)
(注1)「家屋の固定資産税評価額」は、1棟の建物全体の評価額を専有面積の割合によって按分して各戸の評価額を算定
(注2)「敷地全体の価額」は、路線価方式又は倍率方式により評価
改正前と同様に算出した金額に、区分所有補正率を掛け算することとなりました。
築年数、マンションの総階数、所在階、面積により算出される「評価乖離率」を用いて算出される「評価水準」により決まります。少し複雑な計算方法となりますが…
簡単に言ってしまうと、
というように、市場売買価格に対応する補正が行われるような計算の仕組みとなっています。
また、この区分所有補正率による評価方法の適用のないもの(例 地上2階建以下低層の集合住宅 など)も定められています。
※区分所有補正率は、国税庁HP「居住用の区分所有財産の評価に係る区分所有補正率の計算明細書https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/hyoka/annai/pdf/0023011-042.pdf」により計算することができます。相続税の生前対策を考えるうえで不動産の活用は有効な手段ですが、本件のような法律の改正に伴う影響や法律の内容を正しく理解したうえで対策を講じることが大切です。
適切な手法を適時に活用するためには、専門家への相談をおすすめします。
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